台風が日本の東の海上を北上しています。
夏らしい日が少なかったのに、もう台風シーズン
高温多湿の日本では、いかに涼しく過ごせるかが家づくりのテーマでもありますね。
涼しく過ごすためには、家の性能を上げることが必須です。
「家の性能」って?
ちょっと難しいですね
建てる時にかかる建築費用ばかり気にして、建てたはいいけど、夏は暑くて冬は寒い居心地の悪い家になってしまっては本末転倒です。
暮らしやすい家にするためにも「家の性能」を考えましょう。
(参考までにこちらにも少し記載しています。読んでみてください。→→→「住宅性能にこだわる」)
今回は、「涼しく快適に暮らす」ことを窓に着目してお伝えします。
家の性能は、もちろん窓だけでは上げられませんが、窓もとても大切な要素の一つです。
設計士から届いたコラムですが、家を建てる際に参考にしていただければ幸いです。
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皆さんは暑い日本の夏をどのように乗り切っていますか?
家の断熱性・気密性を上げてエアコンなどの空調設備で涼しく過ごすのも1つの方法ですが、自然の風を家の中に取り込んで暑さをしのぐ事ができれば、家計・お財布にも優しく、外と家の中の温度差が少ないため体にも優しい家を作ることができます。
季節の良い春や秋、夏の夜などは自然の風が1番いいですよね。
そこで大事になってくるのが「窓のサイズと形状」です。
今回は「窓」に注目しました。
皆さんもきっと見たことがある3種類の窓の形を例にして、それぞれの役割や断熱性・気密性を上げつつ風を家の中に取り込むことができる窓について考えていきます。
■まずは、窓の種類と特徴を理解しよう
①引き違い窓
日本では一番ポピュラーな窓です。
「窓」と聞いて引き違い窓を想像した方も多いのではないでしょうか。
庭やバルコニーなど外に出る部分に良く使われる窓ですが、どんな場所にも対応できるオールマイティーな窓です。
大面積の開口が取れることが最大のメリットです。
その分、家の周辺の風向きを考えて設ければ家の中に多くの風を取り込むことも可能です。
日本の夏は南風であることが多いため、南側に面したリビングなどに設けるのが合理的です。
引き違い窓のデメリット
引き違い窓は正面からの風は受け入れやすいのですが、窓に対して水平に吹く風を取り込むのは苦手です。
建物周辺の風向きによっては十分に風を取り込めない可能性があります。
また、他の窓と比べて隙間が多く気密性がそれほど高くないため、多用しすぎると気密性が下がってしまうので注意が必要です。
②横すべり出し窓
窓を開けたい角度に調節でき、窓を開けても室内を見せずに換気ができるため、お風呂場や洗面室など水回りに使われることが多くあります。
窓を開けた時、ガラス部分が庇(ひさし)の代わりとなるので、若干の雨であれば防ぐことができます。
メリット
横すべり出し窓は小窓として水回りに使用されることが多い窓です。
風を多く家の中に取り込めるのですが、雨も入りにくく、小窓で防犯にも優れているサイズであれば、夏でも開けっ放しにしておくことが可能です。
デメリット
窓を外側に開くため、外側に網戸や面格子を設けることができません。
網戸は内側に固定や可動網戸、ロール網戸を付ける必要があります。
内側から網戸が意外に目立つので、よく理解した上で横すべり出し窓を採用したほうがいいでしょう。
③縦すべり出し窓
モダンデザインや洋風なデザインの外観に合わせやすく、洋風な住宅が主流になるとともに良く使われるようになりました。
リビングなどの居室だけでなくトイレや空気がこもりがちな廊下など、設けられる箇所は様々です。
メリット
今回紹介している3種類の窓の中で風を1番多く取り込むことができる窓が、縦すべり出し窓です。
開けた窓ガラスが《ウィンドキャッチャー》という風を捕まえる役割になり、家の脇を通り抜けるだけだった風も家の中に取り込んでくれます。
窓の設け方としては、下の写真のように縦すべり出し窓を2ヶ所に設けます。
そうする事で1か所は「風を捕まえる窓」、もう1か所は「風を逃がす窓」になり、部屋の中に自然と風の流れを生む事ができます。
デメリット
横すべり出し窓と同様に窓を外側に開けるため外側にルーバーや面格子を付けられないのが弱点です。
防犯的に心配な方は人の通り抜けができない細いサイズの窓にする必要があります。
《その他夏を涼しく過ごすminiポイント》
①植栽で風を冷やす
お庭の植栽で風を冷やすのも効果的です。庭に植えた植栽は日光の照り返しを防ぐだけで
はなく、葉っぱの「蒸散作用」で周囲の空気の温度も下げてくれます。
②風を誘う
空気は温度の違いによって流れができ、冷たい空気の方から温かい空気の方に動いていきます。
この流れをつくる換気を「温度差換気」と言います。
温かい空気は上にいくので1階から2階にかけて空気の流れを作ってあげることも大切です。
今回は窓に注目してみました。
窓を設ける場所や形によって風を取り込める量も変化してきます。
断熱性能や気密性だけではなく、それぞれの窓の役割を知る事で風の通り道ができ、気持ちよく暮らせる家づくりができると思います。
家計にも、家族の体にも優しい家を考えてみましょう。