新型コロナ拡大防止の影響で、今もなお在宅ワークをされている方も多いかと思います。
4月発表の「LINEリサーチ」によると、約35%の方が一時在宅勤務であったようです。
2,000人以上の大規模な会社では、2020年4月時点では50%以上の方が在宅ワークをしていたようですが、今もなお状況は変わらず続いているようですので、コロナ以降、働き方も大きく変わったと言われています。
かく言う私も一時在宅勤務をしていました。
片道1時間半の通勤時間を要していた娘は、現在も在宅ワークをしています。
今回は、複数人が在宅ワークをしたという自身の経験と、これまでのお施主様の施工事例、社内の設計事例をもとに、「新築を建てる際、在宅ワークをする環境をどう作るか」に焦点を当ててお届けします。
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スペースを作る際には、誰が使用するかによって、ゾーニングが異なります。
■ご主人が在宅ワークされる場合
■奥様が在宅ワークされる場合
ご家庭の事情によりこの限りではありませんが、ここでは、それぞれについてご紹介します。
■ご主人が在宅ワークされる場合
この場合、ご主人は集中して仕事をしたいと考えられると思います。
妻の立場としても
「家族のいる(パブリックスペース)で仕事をしてほしくない」というのが本音のところ。
互いの意思を尊重して、一番幸せなのは、2階に書斎という個室を作るか、スペースを確保することでしょう。
そうすれば、2階を仕事場だと認識し、ランチや業務終了後には1階で家族とくつろぐことにより、「オン」と「オフ」のメリハリがつくことになります。
まとまった時間を個人で過ごせる環境は、仕事中に集中したいニーズを満たすことでしょう。
こちらは、弊社東葛支店モデルハウス内の一例です。
主寝室の脇に書斎コーナーをしつらえています。
ここでのポイントは、寝室側にも袖壁があることにより、寝室側に灯りの邪魔が入りません。
もし、夜遅くまで(仕事でなく)作業される場合でも、安眠の妨げにならないので安心です。
しかし、連日仕事をするとなると、文具や書類、書籍など、何かと仕事に関する物も増えてくると思います。
インターネット環境とともに、収納はある程度確保するとよいでしょう。
上のお施主様の例では、使うものに合わせて可動棚を設置されていました。
個室を設けるにしても、このように収納スペースは作りたいところです。
それから、写真を見てお気づきでしょうか。
やはり、明るさは確保したいですね。
一日いるとなると、暗い部屋の中では不健康になりがち。
南側、もしくは東側に窓を設け、明るいスペースにしたいものです。
ちなみに、2階のファミリーコーナーをこのように設置するのもよいのですが、「集中して仕事をする」という意味ではあまり適しません。
WEB会議を行うと、1階に声が大きく響きますし、子どもたちの邪魔が必ず入ります。
クローズド可能な場所の方が、仕事の効率上よろしいかと思います。
■奥様が在宅ワークされる場合
一方、奥様が使用する在宅ワークスペースはどうでしょう。
私も一時期、在宅ワークをしておりましたが、やはりキッチンに近い位置が便利でした。
奥様の場合、お子様が学校に行かれていてもいなくても、ダイニングかリビングに近いところに場所を設けるのが理にかなっていると思います。
なぜなら、ご主人が炊事を主にされる場合は(羨ましすぎます)別にして、夕飯の支度や洗濯などの家事もついで行いながら、仕事をされるのが効率的だからです。
また、未就学のお子さまがいらっしゃるような場合であれば、お部屋遊びやお昼寝されるような場所に近いエリアで仕事をされるのがいいですよね。
そうなると、ご主人のように書斎を2階に設けるのではなく、1階のパブリックスペース内に設けるのがよいと思います。
こちらは、以前公開していたモデルハウスで、キッチンと洗面室の間に設けた家事コーナーです。
この奥が洗面室になり、手前がキッチンになります。
こういったスペースが設けられると、奥様も「オン」と「オフ」を上手に切り替えることができますね。
上の例のようなダイニングカウンターはいかがでしょう。
和室やリビングでお子さまを遊ばせながら、ご自身も机に向かうことができます。
何より、ご飯の度に片付けなくてよいのが楽。
こちらは、お施主様の事例ですが、欲を言えば、このくらい広いカウンターを設け、お子さまと並んで座れる状況があると更によいでしょう。
経験上、子どもは親の姿を見て育ちます。
親が机に向かっていることが多いと、子どもも自然とそれを真似します。
お母さんが机に向かって仕事をしている横で、(ゲームをすることもあるかもしれませんが)子どもはお絵かきをしたり、勉強(宿題)をしたりします。
たぶん自然に。
我が家は、私のそういった努力で、子どもたちにリビング学習の習慣が自然と身につきました。一度も「勉強しなさい」といったことがないのが唯一の自慢です。
小学生になれば嫌でも宿題をしなければなりませんから、ダイニングの中にそういう学習スペースを作ってあげるのは教育上好ましいでしょう。
親子の共有スペースとして使っていたカウンターも、子どもが巣立てば、自分自身のライブラリーや趣味コーナーに変身します。
生涯にわたって利用価値の高いコーナーとなることでしょう。
■その他
更に検討してもよいことを掲載します。
今回、テレビ番組内でもリモートの場面をよく目にしました。
背景に自宅の棚などが写り込んでいる際は、そちらに目がいってしまい、番組の内容が最初入ってきませんでした。
それをふまえると、仕事でのビデオ会議の際は、相手の方に余計な神経を使わせることのないように、背景が白い壁となるように気をつけた方が良いと思います。
また、健康的に業務を行うという視点から、椅子や机の高さは自分仕様に。長時間でも疲れることのない姿勢を保てることが基本です。
椅子は後でも買えますが、カウンターの場合は、簡単に変更ができませんので気をつけましょう。
こちらはイメージ写真ですが、写真のような椅子では、きっと腰が痛くなるかと笑。
予算とあわせてご検討ください。
この他にも、娘の職場の方の中には、ミニプロジェクターを購入して、ビデオ会議に備えた人がいらしたそうです。
確かにノートPCの小さな画面で資料を説明されても、よくわからない場合があります。
白い壁があれば、プロジェクターを利用できそうですが、この場合は、小さなコーナーではなく、むしろ仕事場をしっかり確保できる場合に採用できそうですね。
いかがでしたでしょうか。
コロナ前後で、新築を検討されていた方も、おかれている状況の変化によって、住まいに求めたいことが変化してきたかと思います。
また、この一件で、何が自分たちにとって大切なのか、何を優先したら良いのかなど、今までのあり方を見直された方も多かったのではないでしょうか。
この働き方の変化や、生活習慣、意識の変化は、やはり毎日を過ごす生活の場を大きく変えることになると私たちも考えています。
今後の暮らしに必要なこと、これからの自分たち家族には何が必要なのかをよくご家族で話し合い、改めてイメージを持たれることをおすすめします。
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